溜めず、恐れず。

自転車ロードレースを翻訳するブログ...だったけどいまはただの雑感ブログ。

ランス・アームストロングによる第21ステージ評「とにかくフルームの子どもが可愛いんだ!!」

 

 

今回で最終回となるランス・アームストロングによるポッドキャスト。ランスの意外すぎる着眼点や、ツッコミどころ満載な持論、その一方でマジメで情熱的な一面があったりと、どこか憎めないランスの人間性が存分に表れている、最後に相応しい回となっています。

 

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ランス: 

さあ2017年のツール・ド・フランス、パリでの最終ステージについて話していこうか。

 

誰の予想も当たらなかったな。ロットNLユンボ24歳のスプリンター フルーネウェーヘンが勝利した。彼はいつもスプリントの上位10人にいたよな。

ー でも、誰もそのことに気づいていなかった。他の選手にまぎれていた。パリで勝ったことによって「誰だこいつは?」となったんだ。

 

ランス:

俺はスプリンターではないけど、1勝だけできるステージを選べと言われたら、俺もツールの最終日と答えるよ。そのぐらい今日は大きな日だ。

 

ー そうだね。最も価値があって、観客が沢山いて、あそこで勝つのはクールだもんね。

 

ランス:

あそこは有名な都市らしいしね。笑

これは著書にでも書く予定だったんだけど、言ってしまおう。

数年前にパリに行った時の話だ。ウーバーに乗って運転手がアフリカ人だったんだ。そして、凱旋門からシャンゼリゼ通りに入った時 彼が俺にこういったんだ。

「ここがシャンゼリゼ通りだよ」って。

俺がランス・アームストロングなんてことを知らずにな。

「教えてくれてありがとう。”よく" 知っているよ」って答えておいたよ。笑

 

テレビ中継を観ていて気づいたんだが、凱旋門の前のキツいヘヤピンカーブはなくなったんだな。そしてそのかわりに凱旋門の周りを回れるようになった。あれはすごいな。テレビで観ていてとてもダイナミックだった。

 

ー なんで長い間、ああいう風に凱旋門を回らせてくれなかったんだろうね。

 

 

ランス:

テイラー・フィニーははじめてパリに来たって言ってたな。もしツールを走ったら、最終日がパリだからそれがはじめになるだろうと。

大したヤツだよ。

 

 

ー ツールを走った多くの選手はブエルタにも出場するらしいね。

 

ランス:

フルームもブエルタに出るらしい。一体なぜだ?

家の前に「出場してくれ」と大金が積まれていたのかもな。ちなみにツールのオーナーであるASOは、ブエルタのオーナーでもあるんだ。

俺がフルームだったら出ていないだろうな。出るわけがない。

 

ー お金以外にはどんな理由があると思う?

 

ランス:

その前に、今日のスタート地点?にフルームの奥さんと子どもがいたけど

 

あの赤ん坊可愛すぎないか?

Holly shit! That kid is cute!

あんなにかわいい子どもがいるなら家で一緒にいろよ。

1週間のレースとかだけ出てればいいんだ。まったく。

 ホントに可愛かったぜ、チクショウ。

 

ー 笑

 

ランス:

いやいや冗談で言っているわけじゃない。ホントにかわいいんだ。

奥さんも確かに綺麗だが、とにかく子どもが可愛いいんだ。

 

ー 笑。話を戻そう。なんでフルームはわざわざブエルタに出るんだ?

 

ランス:

フルームが世界選手権で勝ちたいという野望があるか知らないが、それならブエルタは良い準備期間として機能するかもしれない。

気持ちのことを言えば、また三週間戦うなんて俺にはできないな。

 

ー 今日のパレードレースは、多くの選手にとって新しい契約を結ぶために有利に働くかい?

 

ランス:

ツールは大きな交渉の場みたいものだ。たくさんのエージェントがいて、たくさんのチームがいる。

交渉について言えば、クリス・フルームはチームメイトを何人か失うよな。確かにスカイは他のチームの選手を獲得する資金があるが、力のあるチームメイトを失うのは事実だ。

また、俺が持っている疑問は、チーム・スカイを離れた選手たちがどのような走りをするかだ。なぜならスカイを離れた選手は活躍できないように見えるからだ。活躍するかもしれないが、十分とは言えない。

 

ーその代わりにスカイはどんな選手でも獲得できるだろう?

 

ランス:

もちろん。スカイは白紙の小切手を持っているからな。これが嫌いな人はいない。

 

ー 選手を失うかもしれないが、またフルームに必要な選手を集められるってことだね。

ツールの4回目を勝った直後のフルームは何を思っていると思う?

 

ランス:

誰にもわからないが、5回目の勝利のことだろうね。

ツールには「5勝クラブ」というものがあって、インデュライン、メルクス、アンクティルなどが名を連ねている。そこにクリス・フルームという名前を加えることだろう。

俺がこのことについて話すはちょっと可笑しく聴こえるかもしれないがね。

 

あと、ASOが発表する2018年のコースレイアウトが気になるだろうね。山岳の数や、TTの距離、チームTTの有無などさ。この発表の日はフルームに限らず、総合系の選手全員にとって大きな日になるだろう。

  

ーリスナーからの質問が沢山あるんだ。読んでいいかな?

 

ランス:

待ってくれ。その前に、ある本の最後に書かれていたスピーチを読みたい。

これはツールの父であるアンリ・デグランジュが、1906年のツール・ド・フランスのスタート地点で選手に向けた語った言葉だ。

その当時はいまのように多くの選手がいたわけではないだろうし、ツール・ド・フランスは変わり者によるショーだった時代のことだが、ツールが終わったいまの選手たちへは相応しいと思うんだ。

 

 

苦しく辛い午後、全てのフランス国民が、君たちを応援するため現れるだろう。手を振り、戦いの記憶を刻むため、その目は大きく開かれる。

日が落ち夕暮れにはなると、長い日の疲れがやってくる。田舎者たちは、街を通る君たちを祝ってくれるだろう。

痛みの向こうからは、名誉がやってくる。

そしてパリには、栄光が待っている。

いつかツール・ド・フランスで走ったことを思い出す日がくるだろう。

その時、君たちは誇りをもって言うことができるのだ。

”あそこにいた"ということを。

 

 

 *かなり意訳ですが、雰囲気だけでも伝われば

 

これが、選手たちに送られるべき言葉だ。

 

ー 彼らはツールという大きな歴史の一部になったということだな。選手一人一人の名がツールの歴史に刻まれる。

 

ランス:

そうさ。クレイジーなレースを走りきったんだ。

身体的にも、精神的にも厳しいツール・ド・フランスを。

 

現役の時よく三週間走りきった感想を聞かれることがあったんだ。

それには「すこしでも早く家に帰りたい」と答えていたよ。

「一つの場所に腰を据え、家族や友だちと過ごしたい」「違うホテルを転々とし、毎朝パスタを食うなんてもう沢山だ」と。

 

ー 彼ら選手の頑張りは、想像を絶するよ。

 

 

ランス:

多くの自転車ロードレースファンにはツールが終わってしまった後、ブエルタや世界選手権が待っている。しかしその他にもレースは沢山あるんだ。

アメリカのファンには自転車界全体が集まったレース、ヴァロラマという大会がある。

自転車ロードレースの大会だったらコロラド・クラシックという4日間のステージレースが待っている。これには良いチームが揃っている。

ツアー・オブ・カリフォルニアに呼ばれなかった*ジョージ・ヒンカピーのチームや**アクセル・マーカス(名前が聞き取れず)のチームだってくるんだ。

ヴァロラマはとても良いレース。とても楽しみだよ。

 

ー リスナーからのコメントでよく来るのが「もう自転車ロードレースを観るのをやめてしまった」という内容なんだ。このポッドキャストが良いキッカケになってほしいし、アメリカにも新しいスターが生まれて、自転車界が盛り上がってほしいね。

 

ランス:

正直このポッドキャストをはじめた時、ここまで反響があると思っていなかった。それが500万ダウンロードだよ?ホントに驚いたし、俺なんてヤツのことを気にする人がこれほど多いとは思ってもいなかった。

この放送に関わってくれた全ての人に感謝するよ。

 

本当にこの三週間は楽しかった。いつまた会えるかわからないけど、49週間後には確実に会える。

 

 

この三週間のせいで太ってしまった。またトレーニングをしないとな。

 

 

ちょっとこれから自転車乗ってくるよ。

 

 

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*ヒンカピーのチーム ホロウェスコ・シタデル(Holowesko-citadel cycling team)

 **コメントやツイッターで、ベルギー出身のアクセル・メルクス(Axel Merckx)元選手のことで、彼がGMを務めるアクセオン・ハーゲンズ・ベルマン(Axel Merckx Okanagan)というチームのことだと教えていただきました。