ツール・ド・フランスの中継だけでなく、解説の話題にもたびたび出てくるチームカー。何となくは知っているけど、詳しい役割や内部がどうなっているか知らないファンも多いはず。
第16ステージ終了時点でマイヨ・ブラン(新人賞)ジャージを着るサイモン・イェーツを擁するオリカ・スコットのチームカーに、100万人以上の登録者を持つイギリスの自転車ロードレース専門 Youtubeチャンネル "Global Cycling Network" が、今回もかなり図々しく潜入レポートしています。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
ツール・ド・フランスを走るプロの自転車ロードレースチームにとって中枢であるチームカーを紹介しよう。
足をのせるな。足を。
オリカ・スコットのチームカーには、8台のバイクが積まれている。4台が完成車で、4台は前輪のない状態の自転車だ。
自転車の積み方には策略があり、総合を狙う選手の自転車は取りやすいようより外側に配置されている。車の左側にはクロイツェゲルとチャベスの自転車。後方に位置するチャベスの自転車の方が少しだけ外側に突き出ている。
後方には前輪と後輪がそれぞれ3本ずつ。
右側にはサイモン・イェーツ、ダリル・インピーの自転車だ。(第9ステージ後の休息日に撮影しているので、チームが一番守らなければ行けない選手の自転車は右後ろに積まれることわかる)
積んである自転車のギアは、走り出す際のタイムロスを少しでも無くすため、あらかじめ設定されている。イェーツの自転車は恐らく前53 後19ぐらいだ。
レースの状況を把握するテレビ中継の受信アンテナ。車の前方にはレースラジオ用と、チーム無線用のアンテナがついている。
運転席と助手席にはそれぞれ監督が座り、メカニックは後ろに座る。特に運転席はチームカーの中枢の中枢だ。
ハンドルの真ん中にはコースプロフィールが貼ってある。山岳の位置だけではなく、補給の位置も細かく記されているんだ。これは、路上での補給が全ての選手に行き渡らなかった場合にそれを回収し、改めてチームカーから渡すためだ。
大会運営からレースの状況が逐一流れてくるレースラジオが上部。これは運営や仲間のチームカー、選手と話す為の無線だ。チームカー同士が話す専用の3つ目の無線を搭載しているチームもいる。
ドアのポケットには日焼け止め、補給ジェル(エティックス製)やエナジーバー、スポーツガム。いつでも選手に渡せるよう取りやすいところに入れてある。
これは女性用のストッキング。ここに氷を入れて縛り、選手は首の後ろに入れゆっくり溶ける氷で首筋を冷やすのだ。 (完成図)
メカニックが座る後部座席には、通常では交換用の前輪と後輪が用意される。(今日は休息日なのでない)
メカニックの工具。その他にもチェーンオイルや、タオル、予備の選手用無線がある。
意外とグチャグチャ。
レース状況が把握するためのTVや、上に積んである自転車の表 が貼ってある。
通常レースには2台のチームカーが帯同する。これは第2チームカー(逃げ集団に選手が入った場合はこの第2チームカーがつく)なのだが、そのどちらにも ”ウェットバッグ” と呼ばれるものが用意されている。
(手前のアシスト選手ハウセンのを避けわざわざ奥の)クロイツィゲルのウェットバッグをみてみよう。ここには防寒用の厚手の手袋と、通常のグラブが入っている。
横にはスペアのサングラスと、二組のレースシューズが入っている。どれもすぐ取り出せるよう、とても考えられて収納されているんだ。
これはなんだろうか?
正解はメカニックが腰に当てるお手製のクッションだ!
なぜかドヤ顔。
メカニック工具の予備ボックス。
今日は入っていないがドリンクなどが入った大きなクーラーボックスが用意される。
レースには何があるかわからない。だからヘルメットも二組。
以上だ。
ちなみに今年のジロ・デ・イタリアで総合優勝したドュムランのサンウェブチームカー動画もあるからぜひ観てみてくれ!
ミニクーパーでかわいいです。