今回はランスの1989年からの友人で、元BMCの ジョージ・ヒンカピー がゲストに来ています。
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ここにいる三人は同意してくれると思うが、ツール・ド・フランス最後の山岳コースにしては退屈だった。
総合勢は AG2R と スカイ によってコントロールされ、展開がある程度 予測できる状態になっていた。もっとアクションが欲しかったし、苦しむ選手をもっと観たかった。
それよりも驚きはバルギルだ。
なんだこいつは!?
これがステージ2勝目で、数センチ差で負けたのを入れると実質は3勝目だ。
最初の逃げは54人だった。あれを逃げと呼ぶのかわからないけど。
バルギルはあそこのグループにいなかった。後ろの力のある総合勢のグループから飛び出したんだ。
山岳賞でステージは2勝目。
バルギルは一つ目のストーリーラインで、二つ目はチームサンウェブだ。すごいよまったく。
ー 山岳賞について話したい。このPodcastが始まった一週目に、山岳賞に対して懐疑的だったよね? 山岳賞はその日の状況を伺って攻めるもの達(日和見主義者)によるポイントの取り合いだと。連日のバルギルの走りを観て、その考え方は変わった?
ランス:
確かにバルギルは今回のツールで一番のクライマーではないし、だからと言って日和見選手でもない。
彼は自ら山岳賞を勝ち取った。
久しぶりにこの賞に相応しい選手がパリに帰ってくるよ。
ー フランス人は嬉しいかな。
ランス:
フランスの自転車ファンは今回のツールを観て ”フランスの栄光は返ってきたのか?"と互いに聞き合い、長年の停滞から戻ってきたと思うべきた。
フランス復活その兆しはあると思うね。それにはタイムトライアルの強い選手がいないけど。
ー カナダ人が長年 スタンレー・カップ(北米アイスホッケーのプレーオフトーナメント)を取っていないようなものだもんね。
ジョージ:
フランス人によるステージ勝利は4つだっけ?
さらにあと山岳賞と、総合の表彰台に一人上がりそうだ。
バルギルは本当によくやったよ。
ランス:
バルギルや他の選手について思うことは、すごく細いってことだ。ちょっと細すぎる。というか、小さい。
ー 特にバルギル?バルデ?
ランス:
両選手ともそうだけど、ホントに小さい。
ーこのPodcastでキミは 身体が1ポンド(約900gm)重くなっただけ登りに影響する と言っていたよね。さらに、ツール二週目までに選手の体重は2ポンド落ちるとも。
ジョージ:
選手は身体を繊細に調整しているから、2ポンドの違いは十分に感じ取っているんだ。
ランス:
サンウェブに話を戻そう。サンウェブはマシューズの2勝と、バルギルの2勝で、計4勝だ。しかも山岳賞とポイント賞のジャージの二枚。
6週間前のジロ・デ・イタリアは、ここ10年の間でも稀に見るエキサイティングな大会だった。
そして総合優勝したのが、チームサンウェブのオランダ人のデュムランだ。サンウェブにとってなんてシーズンなんだ。
ー バルデとウランはアタックしたかったが、脚が残ってなかったのだよね?この後にTTしかないことがわかっているなら、もっとアタックするべきだった?
ランス:
バルデがアタックして、カウンターでフルームが行った。直後に短い下り坂があって、ウランはその時点でリミット一杯だったんだ。
ー ランダがアタックした、あのスカイの作戦はなんだ?
ランス:
以前にも言った通り、スカイには(ランダとチームの間には)緊張感があるだろう。けど、スカイはランダに対して注意をしたのではないだろうか。
ランダは今日チームの為の走りをした。他のチームの選手の脚を使わせた。しかし、ランダが表彰台に上がる可能性はまだ残っている。
ジョージ:
僕はランダのアタックが予定されていた作戦だとは思わない。フルームがあの場で指示したことだと思う。ランダはいいペースで行っているし、バルデやウランがそれをみてどう反応するかをフルームは見たかったんだと思う。しかしランダのアタックは見送られた。だからその後フルームは下りの直前の登りでアタックした。
あれらは、その場その場で思いついた作戦だろう。
ランス:
ジョージ。一週間前にあった山頂ゴールステージのランダはどう思った?
(バルデが制した滑走路激坂ゴールの第12ステージ)
ジョージ:
ランダはチームの為にとても良い働きをしていたと思うよ。
最後の1キロは15%の登りで、多くの観客が沿道で応援していた。残り200mになってランダは後ろのフルームをみたけど、フルームはシッティングのままだった。
しかし、その後のランダのインタビューでは「自分が勝つレースを考えている」「自分の力だけでどのくらいいけるんだろうか」と思っているような印象を受けた。
とにかく、アシストというプレッシャーがなくなった時の、来年のランダの走りが楽しみだ。キンタナとの兼ね合いもあるだろうから、どうかわからないけどね。
ランス:
チーム・スカイという大きなチームの選手はとても能力が高く見えるが、チームを離れてしまうとさっぱり活躍しなくなってしまう。(materialize)
スカイにいた時のポートは俺のお気に入りの選手だったが、高い給料でスカイを離れたらイマイチの選手になってしまった。
ー スカイだから輝けていると?
ランス:
ああ。なんか変だ。
ジョージ:
ウランはスカイにいたんだろう?
ランス:
ああ。
ジョージ:
彼はキャノンデールの十分な戦力になっていないか?
ランス:
まあ…そうだけど…。
おい!このポッドキャストで反論はなしだ!
事例を持ち出して反論するなよ!笑
ーこの時点で、11のチームに勝利がない。
ジョージ:
明日の第19ステージがその11チームにとって最後のチャンスだろう。TTの勝者は総合勢だろうし、11チームにTTの良い選手は見当たらない。
それに最終ステージのシャンゼリゼはスプリンターのステージになるだろうからね。
ランス:
シャンゼリゼはブアニだって可能性はある。
ジョージ:
その11チームの監督は、選手に「絶対に逃げに乗れ」と言っているだろうね。
どんなに小さな可能性をも逃さずに乗れと。そのプレッシャーはかなりのものだろう。
というか、あんなに大変な逃げを決まるシーン、なんでテレビで映さないんだ。
あれはレースで一番キツイ場面だ。
ランス:
まったくだ。
逃げに乗らなかったチームのスポンサーは電話で「なぜうちのチームはレースにいなんだ?」と電話してくるだろうな。
だから明日は旗が振られた瞬間からアタックの嵐になるだろう。
ー ある女性の視聴者からの、素朴な質問なのだが…。
ステージ勝利もしていない、総合系の選手もいない、スプリンターもいないチームはなんでレースに参加しているのでしょうか?だって。ちょっと野蛮な質問だったかもしれないけど。
笑
ランス:
答えてみよう。これはフランスのレースだ。出場チームを決めるのはASOで、UCIにも決定権はない。ワイルドカードが何チームでどこが選ばれるかは彼らが決める。
BMCをみてごらん。約22億円の資金、33億円だっけ?があったのにも関わらず…
ジョージ:
彼らは不運だっただけだ。
ランス:それならチームはスポンサーになんて説明するんだ?「不運でした。」か?
ジョージ:
俺はヴァンアーヴェルマートのステージ勝利を金かけてるんだ!彼らはまだ終わっていない!笑
ー 総合で優勝候補の選手がいるのにツールに招かれないことなんてあるの?
ジョージ:
2010年に僕たちBMCはワイルドカードで出場したけど、実は当落線上にいたんだ。カデル・エヴァンスというワールドチャンピオンがいたのにもかかわらず。
当時の彼はツールの優勝候補ではなかったけどね。
ランス:
ツール・ド・フランスは世界でも実力のある選手に出場してほしいから、そんなことはないと思うよ。
ー 彼らはその出場させてリタイアする所が観たいんでしょ?笑
ランス:
明日はまた大きな逃げ集団が形成されるだろう。
そして総合勢は明日は、その次の日にあるタイムトライアルのことしか考えていないだろう。タイムトライアルは盛り上がるだろうな。
今大会のツールを予想通りの展開で退屈という人もいるが、この時点で二位が23秒差というのは凄い。
バルデは23秒遅れ、ウランは29秒、ランダは少しそれから離れているが、考えてみてくれ。一回のパンクですべてがひっくり返る。
メカニカルの問題、パンク、落車、何が起こっても不思議じゃない。
これら1つでも起こったら負けるんだ。
この中でクリス・フルームが一番 TTが得意な選手だが、落車せず、チェーンを外すことなく、パンクすることなくゴールしなければならない。
”シュナックス(道路にある減速を促すための突起)”だって沢山あるんだ。
ジョージ:
でもウランは2014年のジロの、とてもむずかしいTTで良いタイムを出していたよね。
シュナックスも多い。
ランス:
23秒も29秒も、どうにでもなるタイム差だ。
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別にスカイファンではないのですが、クヴィアトコフスキーが引きまくっているせいで最初は「フルームの為にクヴィアトコフスキー頑張れ!」だったのが、いつしか「クヴィアトコフスキーがあんだけ引いてくれたんだからフルーム頑張れ!」になってきています。笑
State of mind while you're over threshold. You just don't care 😑@LeTour @TeamSky #Kwiato #AllezKwiato pic.twitter.com/JBxAAmBoz0
— Michał Kwiatkowski (@michalkwiatek) 2017年7月20日