記事を読む上で重要なタイトル。今回は英文記事におけるタイトルの役割と、その特徴について書きました。また英文記事が深く読めるようになる方法も紹介しています。
(↑リード文)
タイトルの読み方
いきなり身も蓋もないことですが、英文記事のタイトルを「読む必要はない」のかも知れません。なぜならタイトルとは、読者を記事まで辿り着かせるまでの広告(入り口)であって、決して記事内容の要約ではないからです。
そもそもウェブ記事は、サイトに直接行って読む人よりもツイッターやFacebookのフィードから訪れる人が多い為、タイトルにはあらゆる制約が発生してしまいます。 ここでは英文記事におけるタイトルの制約を、三つに分けて説明します。
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140文字の障壁
まず一つ目の制約は「文字数」です。ツイッターの140字という制限は、英語にとってほとんど何も伝えられないぐらいの短さです。またFacebookであっても「クリックされやすいタイトルの文字数」というものが調査から明らかになっており、短いタイトルが好まれる傾向にあります。短くする方法としては「記事内容と、それがポジティブかネガティブなのかを表す言葉」が多く使われます。しかしそれは日常的に使われる言葉と異なり、結果的に理解が難しい表現になってしまうのです。
過剰に、過激に
二つ目は「表現」の制約です。タイトルとサムネイル画像を見た人に記事までたどり着いてもらうため、時として過剰な表現が使われます。日本語の記事でも同じですが、なるべくインパクトの強い言葉を使って読者の興味関心を引くという方法です。
例えば、アルがマイヨ・ジョーヌを守ったツール・ド・フランス第13ステージ後に配信された記事 ↓
「Froome: Landa is a real threat for Tour de France title」
直訳すると「フルーム:ツール優勝にはランダが脅威となる。」となります。
まるでフルームがランダの裏切りを警戒しているように読めてしまいますが、皆さんご存知の通り、インタビューで必ずチームメイトへの感謝を述べるフルームが、この大会一番のアシストであるランダに対してこのような言い方をするはずがありません。
この(過激なタイトルに惹かれ)記事の本文を読んでみると、「アシストであるランダの総合順位が上がることで、チームとして切れる手札が増え、他の総合勢の脅威となる」という意味であることがわかります。
これから本文の意味を補足して訳してみると、
「フルーム:ツールの総合優勝を狙う(他チームの選手にとって)ランダは脅威である。」
となります。
こういった読者の興味をいたずらに煽る記事タイトルを、大手自転車ロードレースサイトである「Cycling News」が行っているという事実を、我々は知っておかなければなりません。(でもまぁ慣れてくるとこういった煽りタイトルの読解も記事読む楽しさの一つなのですけど…ね。)
英語圏文化の壁
三つ目は「英語圏の文化」的な制約です。タイトルにはその文化圏でのみ通じる表現が使われている場合があります。日本語の記事タイトルにも「〇〇、✕✕辞めるってよ。」や「まだ△△で消耗してるの?」のような、パロディ的なタイトルを目にしますが、ざっくり言うとそんな感じです。
また独自の洒落た表現を使うことで読者の関心を引くテクニックもあり、これも調べないと分からないものが多いです。(単語の意味はわかっても全体として何が言いたいのかわからないやつです。)
例えば、ブエルタで健闘したキャノンデールのマイケル・ウッズについての記事 ↓
「Vuelta a Espana: Woods still firing on all cylinders in second week」
読解のポイントは「firing on all cylinders」という熟語で、「エンジンのシリンダー(気筒)に火がつく=(エンジン全開で)やる気に溢れる」 という意味で、さらに「still=いまだ」という単語から、
「二週目に入ってもいまだウッズはやる気に溢れている」という訳になります。
ここまで調べてようやくタイトルの意味が理解できます。
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以上のように、タイトルとは様々な制約を受けて書かれている為、理解が難しいく、時間をかけて調べないとわからない構造のものが多くなっています。英文記事を読む目的が「英文読解力の向上」だったら一語一語を丁寧に読み解くことも勉強になるのですが、「記事の内容を把握・理解したい」だけの場合は、タイトルはサッと目を通すぐらいで、リード文と本文を読んだほうが賢明かつ楽しく読めると思います。
あっ、別に英文記事タイトルの全部が全部「複雑」というワケではなく、特にレースレビューなどは素直なタイトルの記事も多いので、単に「読んで意味がわからなくて気にしないで」ということです。
最後に、自転車ロードレースの英文記事を読んで理解が深まる「魔法のようなメソッド(方法)」を一つご紹介します。
アウトプットは質の良いインプットに繋がる
英文記事の理解が深まる良い方法とは「読んだ内容を要約・翻訳し、記事リンクとともにツイート」することだと思います。
【コンタドールがスペイン次世代のエースにエンリク・マスを指名】
— Sorato (@If_So_Ara) 2017年9月10日
(名前を出すことによって)プレッシャーをかけたくないのだけど、という注釈付き。さすがレジェンド! https://t.co/dwb04cq0OS
↑ちなみにこれ、タイトル の訳は合っていますがコメントは間違っています。本文読めば明らかなのですが、自分への戒めとして掲載しました。
「アウトプットすることが、より質の高いインプットに繋がる」というのは情報収集の基本と言われていますし、それは言語学習にも言えることです。
もちろんFacebookでもブログでもいいのですが、特にツイッターの140文字というのは「一つの記事を要約し、自分の意見を一言加える」には丁度よい文字数です。また日本語の情報が極端に少ない自転車ロードレースに関する内容であれば、興味関心を示してくれる人も多く、それにより自分のツイートに対して責任を感じやすくなると思います。
記事をノートにまとめたり、鍵付きのツイッターアカウントを利用するという方法もありますが、やはり「誰かに見られている」ということは適当になってしまう自分を律してくれますし、何より「いいね・リツイート」されると嬉しくなり、それがモチベーションに繋がります(自分自身なっています)。
確かに「誤訳してしまう不安」もあるとは思いますが、その負の感情を逆に利用し、自信が持てるまで調べたり情報の確認をすれば、例え間違ってしまったとしてもその「時間をかけて書かれたツイート」には価値があり、自分自身の向上に繋がる…と思うのですがどうでしょうか?
以上となります。ご指摘などありましたらコメント欄やツイッター (@If_So_Ara)にてお願いします。
おまけ
最近ツイッターで見かける「記事一本が映像と字幕で読める動画」です。字幕の展開が早いため、読むスピードアップのトレーニングに絶大な効果があります。自由なところで停止ができ、繰り返し観ることができますし。自転車ロードレースの動画は滅多に見かけないのですが、一般的なニュースであればCNNの公式ツイッターなどで見れるのでオススメです。自転車ロードレースのサイトにもこういった多様な発信方法をしてくれれば面白くなるのになぁと。
Why it could be another dream double for Chris Froome at UCI World Championships 🙌 pic.twitter.com/miyh8VD3YE
— Eurosport UK (@Eurosport_UK) 2017年9月15日
また、こちらはブエルタの裏で開催されていた『ツアー・オブ・ブリテン』公式ツイッターが配信していた選手のインタビュー動画。字幕付きなので(我らが)ゲラント・トーマス先輩の ”聴き取りづらい” イギリス英語が、聴き取れるような気になれます。他の選手のインタビューも配信されているので、よかったらチェックしてみてください。
Tomorrow is the last day of the #OVOToB! See what fan-favourite @GeraintThomas86 thought ahead of the finale in Cardiff 🙌 pic.twitter.com/GToCqV3ppB
— Tour of Britain 🇬🇧 (@TourofBritain) 2017年9月9日
英文記事のびっちりと埋め尽くされた英語の文字に「ウエっ!」となる人も、こういった字幕付き動画からはじめてみるのもよい方法かなと思います。
次回予告「グーグル翻訳リーディングのメリット・デメリット」←自転車ロードレース全く関係ないので迷っているのですが…興味ありますか?