完全なツール・ロスです。
家に帰ってきてからの生活リズムが行方不明です。ツール始まる前まで自分がどのような生活を送っていたのかがまったく思い出せません。
またそれ以上にランス・アームストロング・ロスです。あの居酒屋でいい年したおっさんが老眼鏡片手に熱っぽく語ってるような雰囲気がとても恋しいです。
なので、ツールが終わった直後からランスのポッドキャストをステージ1から聴き直しています。また最初の方の展開を思い出すためにレースダイジェストを観返したり、大事なシーンをJsportsの配信で観返したりと、何気にツール2周目に突入しています。
このブログでは合計 8ステージ分のランス評を訳しました。なので13ステージ分が未訳ですし、訳したステージ評でもステージに直接関係ない箇所などは省略をしています。
しかし今さらそれら全てを訳する気力もなく、また需要もないだろうと思いまして、2周目で聴いていて ”特に面白かった所” を抜粋して訳してみました。
よかったらどうぞ。
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アメリカの有力選手であるテイラー・フィニーについて
第1ステージ評にて
ー 多くのリスナーがアメリカ人選手について知りたがっている。今回のツールにはタランスキーなどもいるが、特にテイラー・フィニーだ。今日の個人TTでもそれなりのタイムだった。
ランス:
自転車ロードレースを追っている人ならわかると思うが、テイラーは面白い選手だ。俺は彼の自転車選手としてのキャリアだけではなく、子どもから成長する彼もみてきたんだ。
2008年にトレック・リブストロングというチームを立ち上げ、2009年に活動しはじめたのだが、テイラーは最初に契約した選手の中の一人だった。普通のかわいい子どもだったが、それだけではない個性の持ち主だ。自転車選手には目立つ個性が必要だが、テイラーにはそれがある。
ただ、みんなは知らないみたいだが、彼は数年前のアメリカ選手権で大きな落車に見舞われ、大怪我をしてしまったんだ。
ー 6ヶ月間松葉杖をついていたらしいね。
ランス:
そうなんだ。彼は今日12位だったが、それは凄い順位だ。いい走りだった。俺は誇りに思うよ。
テイラーには恐怖心がない。一緒に自転車に乗ってそれがわかった。彼は自転車の操作がうまく、そういう選手は多くの場面でブレーキを必要としないのだけど、今日は然るべきところでブレーキをかけていたし、とても上手く走ったと思うよ。はじめてのツールとしてはね。
ー 僕は一回会ったことがあるんだが、ナイスなヤツだし、とてもおもしろ奴だった。
それに彼はとても良い遺伝子を持っているよね。彼の両親はとても良い自転車選手だった。
ランス:
彼の父親(デイヴィス・フィニー)はいろんなレースに出てたしツールでも1勝している*(実際は2勝)。彼の母親(コニー・カーペンター)も、世界的なロードレース選手だっただけでなく、世界的なスピードスケートの選手でもあったんだ。
ヤツの遺伝子には非の打ち所がないよ。
第9ステージ評にて
ー 今回のツールに限らず、アメリカ人で将来が楽しみな選手は誰だい?
ランス:
ネイサン・ブラウン(キャノンデール)は、もうすでに活躍をしているが良いツールを送っている。彼はアクセル・メルクスがやっているアクセオン・ハーゲンズ・ベルマンというチームにいたんだ。
そこ出身の選手でエイドリアン・コスタ(クイックステップ)もいい。フランス人とアメリカ人の間に生まれたんだけど、すごい才能を持った選手だ。
ニールソン・プラヴィス*(聴き取れず)もいい選手だ。
ツール・ド・フランスと賞金額について
第7ステージ評にて
ー リスナーから興味深い記事が送られてきたんだ。
ツール・ド・フランスでは 200万ユーロ(約2億6千万円)が賞金として用意されているんだけど、他のメジャーなスポーツと比べて…
ランス:
このリスナーは二つの記事を送ってきてくれた。
一つ目は今年のツールの賞金総額についてで、もう一つはテニスのウィンブルドンの賞金についてだ。
この二つは同じ時期に開催されている国際的で世界中が注目するような大きな大会だ。どちらも世界でトップの選手が集まっている。さらにツールの最終週にはイギリスでゴルフの全英オープンが開幕する。
それぞれの賞金金額について調べたんだ。ツール・ド・フランスは3週間、ウィンブルドンは2週間、全英オープンは4日間に渡って行われる。
全英オープンの賞金は 180万ドル(約2億円) だ。これは優勝者一人に与えられる。
ウィンブルドンは男女それぞれへの賞金が 250万ドル(約2億8千万円)。
ちなみに2011年から優勝賞金は倍額になっている。つまりこの6年で倍になっているんだ。
一方ツール・ド・フランスの優勝者は50万ユーロ(約6500万円)だ。
なんとこれは、俺が優勝した時と同じ金額なんだ!
それが未だに変わっていないんだ!
世界で一番過酷なスポーツの大会なのに!
信じられない!
確かにゴルフはキャディに10%を支払うし、トレーナーやコーチへの支払いもあるだろう。しかしツール・ド・フランスの優勝賞金でその選手が受け取るのはゼロだ。
ゼロなんだ。全ての賞金はチームに入り、さらに自身の細かい賞金などもチームに行く。
ウィンブルドンが6年で倍になっているのに、ツールは…。
これは正しくない。
ー これはクレイジーだね。クレイジーだ。でもファンは「どうせ個人のスポンサーから沢山貰っているんだろ」というだろう。
ランス:
もちろんさ。
ー しかし、今年のツールに出場した198人のうち、何%がそれだけで生活に十分な額のスポンサー料を貰えているだろうか? 5%?10%?
ランス:
この話は少し複雑だな。まず選手個人の前に、チームスポンサーというものがある。選手個人だったらサングラスや、ある程度勝っている選手だったらシューズのスポンサーもあるだろう。でも、自転車やペダルやヘルメットはチームと契約しているから選手個人ではスポンサーがつくことはないんだ。
ー 以前の放送で話していたけど、チームとしての利益はほぼないしね。
ランス:
これはブラックホールなんだ。
確かに自転車競技はハードだし、賞金が少ない。しかし問題の根本は「ここ何年も変わっていない」ということだ。
なぜ賞金が上がらないんだろうか。
ー 約20年という長い間ね。
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ツール期間中に訳したランス評の中で、訳の誤りや、英語が聴き取れず不明だった点、補足情報などをコメントやツイッターでいただきまして、本当にありがとうございました。
おかげでツール前よりも多く自転車ロードレースについて知ることができました。
しかしまだまだ観戦初心者でありますので、引き続き指摘等ありましたらコメント欄やツイッター(@If_So_Ara)にてお願いします。
この絵、ツールの復習に最適。
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— pro cycling trumps (@procycletrumps) 2017年7月26日