溜めず、恐れず。

フローをストォーック。

自転車ロードレース英文記事の読み方 〜グーグル翻訳のメリット・デメリット〜

 

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 先日、課題に出した記事を生徒さんがグーグル翻訳をつかい読んでいたことが発覚しました。真面目で熱心な方だったのですが、ワケを聞いたところ「仕事が忙しく、課題にかける体力と時間がなかった」と。

普段から大抵のことにヘラヘラしているのですが、この時ばかりはマジメな口調で「グーグル翻訳に頼るぐらいなら、課題をやってこない方がマシ」ということを伝え、グーグル翻訳を使うことのメリット・デメリットについて話しました。

 

グーグル翻訳はめちゃくちゃ便利で優秀なツールなので、「英語学習」以外で使っても何の問題もないと思っています。むしろ「使えば使うほど精度は上がる」という話を聞いたことがあるので、積極的に使った方が人間の未来にとっては良いのかもしれません。

しかし英語学習においてグーグル翻訳とは、 ”楽で便利” ということを引き換えに人間が文章を読む上で一番必要な「前後の文脈から推測する能力」の向上を妨げてしまうものでしかありません。

また、グーグル翻訳は "まだ" 万能ではありません。なのでグーグル翻訳で(自転車ロードレースなどの)英文記事を読む為に知っておいて損はない「メリット・デメリット」について書きました。

 

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精度は高いが使い方に注意

 昨年末ごろに「グーグル翻訳の精度が大幅に上がった」ということが話題になりました。特に「英語→日本語」は翻訳家や専門家にとっても目を見張る精度だったそうです。(しかし翻訳家の存在を脅かすまでにはまだ時間がかかるとも言っていました。)

特に公式文書のような「主語と述語が明確な、読み手に解釈の幅を与えない」文章に関しては抜群の精度を見せます。実際、自分が自力で翻訳したエントリ↓をグーグル翻訳と比べてみたところ、とても引き締まった日本語になり…かなり落ち込みました。

その1でも書きましたが、記事の要約にあたる「リード文」は特に精度が高くなる箇所なので、この部分をグーグル翻訳を使い内容を理解するというのはとても良い方法だと思います。

しかしこの時に知っておく必要があることが、 ChromeSafari に機能としてついているページの自動翻訳ではなく、文章をコピペしてグーグル翻訳にかける方が精度が上がるということです(これも文の長さなどが影響するので一概には言えないのですが)。特にツイッターやインスタグラムの自動翻訳機能は意味が真逆になってしまうことが多いので、コピペしてグーグル翻訳にかけるほうが賢い使い方と言えます。

ついでにフランス語やスペイン語などのラテン語系の言語は、一度英語に翻訳してから日本語にする方が精度は上がります。これはグーグル翻訳が「対英語」を中心に研究しているかららしいのですが、(英語読める人は)試しにスペイン語を英語にしてみるとびっくりするほど自然な英語になります。

 

決して万能ではない

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「Your smile is fabulous.」→「あなたの笑顔は素晴らしいです。」

これは「グーグル翻訳の特徴」を生徒さんに説明する時によく使っている例なのですが、「fabulous」という単語の意味をグーグル翻訳に聞くと「素晴らしい」と出てきます。

これは何も間違ってはいないのですが、実はこの「fabulous」という単語の対象となるのは「女性か、ゲイの人」のみで、単なる賞賛の意味だけでなくその言葉が向けられた側の性別が限定されている言葉なのです。また男性に対して使うのは「誤り」になり、場合によっては「素晴らしく女々しい」という皮肉の意味で使われる場合もあります(LGBTQの普及により言葉の性差がなくす方向に進んでいるので”いまのところは”なのですが)。ちなみにこれは”ニュアンス”ではなく”意味の違い”になります。

その他にも主語の省略や、逆説が二重になる場合の誤訳など、グーグル翻訳の精度が以前と比べ格段に上がったとはいえ、改善の余地はまだまだあるということがわかります。

ニュアンスの罠

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 日本の新聞や雑誌の記事と、英語圏で書かれた英文記事の大きな違いに「記名かどうか」ということがあります。日本の記事でよく見かける「無記名」や「〜編集部」など書き手の存在をボヤかすことは英文記事ではほとんど見かけません(速報やレースレビューなどは別)。

記名記事である理由としては「事実への責任の所在を明らかにする」等いろいろあるのですが、その一つに「記事に書き手の主義主張や立場が現れるため」でもあります。

例えば「スカイの人海戦術」に対し否定的な記者が書いたフルームの記事と、「スカイの合理性は良し」という人の記事ではフルームの描き方が変わってきます。そしてその目線は文章の中に暗喩や同じ意味だけどニュアンスの異なる単語などに現れます。しかしグーグル翻訳を使って読む日本語では、その主張の異なる二人が描くフルームの差が読み取りづらくなってしまいます。

このように日本語だったら当たり前のように読めるニュアンスが、グーグル翻訳から吐き出された日本語では消えてしまう場合があるのです。

正直、スポーツの記事に記者の主義主張など関係ないだろうと思っていたのですが、先日の「キャノンデールの新スポンサー撤退」に関する記事において「純粋に応援している」記事や「大枠では応援しながらJV個人に対しては批判的」な記事、「クラウドファンディングについてのみ疑問を呈している」記事など多種多様でとても興味深い体験でした。

不完全を信頼できるか

自分が思うグーグル翻訳における最大のデメリットは「グーグル翻訳の日本語を信頼することができない」ということだと思っています。

日本語として違和感のある(不自然な)文章を、どこまで信頼し自分に取り入れることができるのか、ということです。

文章を読むというのは「文章を頭の中でビジュアル(画)化する作業」だと考えています。しかしそこに「文章に対する疑念や不安」という余計な感情が入ることにより、受け取る情報量は同じでも、自分の中に知識として定着する情報量は少なくなってしまうのです。

例えば「日本語の記事・自力で読解した英文記事・グーグル翻訳で読んだ英文記事」の三つがあるとします。そのうち一番知識として定着するのはどれかというと、「自力で読解した英文記事」です(長いこと英語を学び教えている経験からすると)。その理由は単純に「その記事と接した時間が最も長い」からであり、わからない箇所を調べながら読み進めていくことによって画が徐々に完成していき、その時間がかかるほど記憶に残りやすくなるからです。

わかりづらい説明になってしまいましたが、グーグル翻訳による違和感(疑念)のある文章を、自分の中で「事実」として信頼できるかは、情報を得るという行為においては大きく影響してくるということです。

しかし一方で、その疑念を埋めるほどの知識がある場合や必要な情報だけ抜き出すような場合は問題はないとも思っています。それ以外で情報の裏付けをすればいいワケなので。

 

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以上がグーグル翻訳のメリットとデメリットでした。

ざっくりとまとめると「グーグル翻訳は便利だけどまだ自力読解にはまだ及ばないから使い方に気をつけようね」ということです。

個人的な感覚として「近い未来に自動運転自動車が普及するはずだから運転免許証なんていらない!」と「自動翻訳が発達するから英語の勉強なんてする必要ない!」は、同じぐらいの未来だと思っているので、無理して英語の勉強する必要はないとも思ってます。そりゃ読めたほうが楽しいけどね。

 

 

(ここから蛇足)

で、グーグル翻訳に頼らず自転車ロードレースの英文記事を読むためにはどうすればいいのだ!ということなのですが、「ひたすら読む」が手っ取り早い方法です。「知りたいけど情報が英文記事にしかない英文記事を読む」がモチベーション的にも良いと思いますし。

こちらは一例 ↓

記事を印刷してわからない箇所にマーカー引きながら読む(一回目)、頑張ってその単語や熟語を予想しながら読む(二回目)、マーカーした箇所を調べながら読む(三回目)、その記事の内容とそれに対する自分の意見を誰かに伝えるつもりでまとめる(書いてもいいし喋ってもいい)、三日後に(真っ白な英文で)同じ行程を再度行う、一週間後にもう一度行いわからない箇所があれば単語帳として書き残す、一ヶ月後にもう一度読む。

これを繰り返せば三ヶ月後には「普通」に英文が読めるようになっています。単純に語彙が増えるからというのもあるのですが、英文記事を読む「習慣と体力」がつき、何より「英文を読む」という行為に対する心のハードルが下がるからです。

これを行えば「TOEICの参考書」なんか買わず、自転車ロードレースの英文記事を読むだけでリーディングの方はグングン上がっていきます。欧州サッカーの記事だけでTOEICのリーディングが満点近く取れた生徒さんがいるので保証します。(おかげで自分もサッカーめっちゃ詳しくなった。)

これ筋トレと似ているんですよね。筋肉をつけるには「筋トレの習慣」をつけ、効果を上げるにはトレーニングや栄養についての知識をつけることが必要です。それを自分で調べるのが面倒くさければジム(英語講座)に行って教えてもらえばいい、という点も同じ。

しかし「毎日仕事でヘトヘトなのだから、そんなんできないわ!」というのが本音だということこともよーーーくわかります。だ・か・ら、自転車ロードレースなどの趣味を英語化するのが一番手っ取り早い方法だと思うのです。

「努力しているつもりはないのだけど、気づいたらいつの間にか読めるようになっていた!」が理想ですからね。

 終わり。

自転車ロードレース英文記事の読み方 〜その 2:タイトルの読み方・インプット方法〜

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記事を読む上で重要なタイトル。今回は英文記事におけるタイトルの役割と、その特徴について書きました。また英文記事が深く読めるようになる方法も紹介しています。

(↑リード文)

 

タイトルの読み方

いきなり身も蓋もないことですが、英文記事のタイトルを「読む必要はない」のかも知れません。なぜならタイトルとは、読者を記事まで辿り着かせるまでの広告(入り口)であって、決して記事内容の要約ではないからです。

そもそもウェブ記事は、サイトに直接行って読む人よりもツイッターFacebookのフィードから訪れる人が多い為、タイトルにはあらゆる制約が発生してしまいます。 ここでは英文記事におけるタイトルの制約を、三つに分けて説明します。

 

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140文字の障壁

まず一つ目の制約は「文字数」です。ツイッターの140字という制限は、英語にとってほとんど何も伝えられないぐらいの短さです。またFacebookであっても「クリックされやすいタイトルの文字数」というものが調査から明らかになっており、短いタイトルが好まれる傾向にあります。短くする方法としては「記事内容と、それがポジティブかネガティブなのかを表す言葉」が多く使われます。しかしそれは日常的に使われる言葉と異なり、結果的に理解が難しい表現になってしまうのです。

過剰に、過激に

二つ目は「表現」の制約です。タイトルとサムネイル画像を見た人に記事までたどり着いてもらうため、時として過剰な表現が使われます。日本語の記事でも同じですが、なるべくインパクトの強い言葉を使って読者の興味関心を引くという方法です。

例えば、アルがマイヨ・ジョーヌを守ったツール・ド・フランス第13ステージ後に配信された記事 ↓

www.cyclingnews.com

「Froome: Landa is a real threat for Tour de France title」

直訳すると「フルーム:ツール優勝にはランダが脅威となる。」となります。

まるでフルームがランダの裏切りを警戒しているように読めてしまいますが、皆さんご存知の通り、インタビューで必ずチームメイトへの感謝を述べるフルームが、この大会一番のアシストであるランダに対してこのような言い方をするはずがありません。

この(過激なタイトルに惹かれ)記事の本文を読んでみると、「アシストであるランダの総合順位が上がることで、チームとして切れる手札が増え、他の総合勢の脅威となる」という意味であることがわかります。

これから本文の意味を補足して訳してみると、

「フルーム:ツールの総合優勝を狙う(他チームの選手にとって)ランダは脅威である。」

となります。

こういった読者の興味をいたずらに煽る記事タイトルを、大手自転車ロードレースサイトである「Cycling News」が行っているという事実を、我々は知っておかなければなりません。(でもまぁ慣れてくるとこういった煽りタイトルの読解も記事読む楽しさの一つなのですけど…ね。)

英語圏文化の壁

三つ目は「英語圏の文化」的な制約です。タイトルにはその文化圏でのみ通じる表現が使われている場合があります。日本語の記事タイトルにも「〇〇、✕✕辞めるってよ。」や「まだ△△で消耗してるの?」のような、パロディ的なタイトルを目にしますが、ざっくり言うとそんな感じです。

また独自の洒落た表現を使うことで読者の関心を引くテクニックもあり、これも調べないと分からないものが多いです。(単語の意味はわかっても全体として何が言いたいのかわからないやつです。)

例えば、ブエルタで健闘したキャノンデールのマイケル・ウッズについての記事 ↓

www.cyclingnews.com

「Vuelta a Espana: Woods still firing on all cylinders in second week」

読解のポイントは「firing on all cylinders」という熟語で、「エンジンのシリンダー(気筒)に火がつく=(エンジン全開で)やる気に溢れる」 という意味で、さらに「still=いまだ」という単語から、

「二週目に入ってもいまだウッズはやる気に溢れている」という訳になります。

ここまで調べてようやくタイトルの意味が理解できます。

 

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以上のように、タイトルとは様々な制約を受けて書かれている為、理解が難しいく、時間をかけて調べないとわからない構造のものが多くなっています。英文記事を読む目的が「英文読解力の向上」だったら一語一語を丁寧に読み解くことも勉強になるのですが、「記事の内容を把握・理解したい」だけの場合は、タイトルはサッと目を通すぐらいで、リード文と本文を読んだほうが賢明かつ楽しく読めると思います。

あっ、別に英文記事タイトルの全部が全部「複雑」というワケではなく、特にレースレビューなどは素直なタイトルの記事も多いので、単に「読んで意味がわからなくて気にしないで」ということです。

 

最後に、自転車ロードレースの英文記事を読んで理解が深まる「魔法のようなメソッド(方法)」を一つご紹介します。

アウトプットは質の良いインプットに繋がる

 英文記事の理解が深まる良い方法とは「読んだ内容を要約・翻訳し、記事リンクとともにツイート」することだと思います。 

↑ちなみにこれ、タイトル の訳は合っていますがコメントは間違っています。本文読めば明らかなのですが、自分への戒めとして掲載しました。

「アウトプットすることが、より質の高いインプットに繋がる」というのは情報収集の基本と言われていますし、それは言語学習にも言えることです。

もちろんFacebookでもブログでもいいのですが、特にツイッターの140文字というのは「一つの記事を要約し、自分の意見を一言加える」には丁度よい文字数です。また日本語の情報が極端に少ない自転車ロードレースに関する内容であれば、興味関心を示してくれる人も多く、それにより自分のツイートに対して責任を感じやすくなると思います。

記事をノートにまとめたり、鍵付きのツイッターアカウントを利用するという方法もありますが、やはり「誰かに見られている」ということは適当になってしまう自分を律してくれますし、何より「いいね・リツイート」されると嬉しくなり、それがモチベーションに繋がります(自分自身なっています)。

確かに「誤訳してしまう不安」もあるとは思いますが、その負の感情を逆に利用し、自信が持てるまで調べたり情報の確認をすれば、例え間違ってしまったとしてもその「時間をかけて書かれたツイート」には価値があり、自分自身の向上に繋がる…と思うのですがどうでしょうか?

 

 

以上となります。ご指摘などありましたらコメント欄やツイッター @If_So_Ara)にてお願いします。

 

 

おまけ

 最近ツイッターで見かける「記事一本が映像と字幕で読める動画」です。字幕の展開が早いため、読むスピードアップのトレーニングに絶大な効果があります。自由なところで停止ができ、繰り返し観ることができますし。自転車ロードレースの動画は滅多に見かけないのですが、一般的なニュースであればCNNの公式ツイッターなどで見れるのでオススメです。自転車ロードレースのサイトにもこういった多様な発信方法をしてくれれば面白くなるのになぁと。

 

また、こちらはブエルタの裏で開催されていた『ツアー・オブ・ブリテン』公式ツイッターが配信していた選手のインタビュー動画。字幕付きなので(我らが)ゲラント・トーマス先輩の ”聴き取りづらい” イギリス英語が、聴き取れるような気になれます。他の選手のインタビューも配信されているので、よかったらチェックしてみてください。

英文記事のびっちりと埋め尽くされた英語の文字に「ウエっ!」となる人も、こういった字幕付き動画からはじめてみるのもよい方法かなと思います。

 

 

次回予告「グーグル翻訳リーディングのメリット・デメリット」←自転車ロードレース全く関係ないので迷っているのですが…興味ありますか?