溜めず、恐れず。

自転車ロードレースを翻訳するブログ...だったけどいまはただの雑感ブログ。

ランス・アームストロングによる第15ステージ評 「フルームはメカトラが多すぎるし、BMCの奴らにもう興味はない!」

 

二回目の休息日前、最後のレースだった第15ステージ。

今回もランス節が満載で語っております。

 

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ランス:

まずは28人ほどの先頭集団に入って逃げ勝った、トレックセガフレードのモレマに敬意を表したい。

残り27kmから逃げ、追走から距離を保ったままゴールするなんて、相当な勇気がなければできない走りだ。

 

総合勢はダン・マーティンがタイムを稼ぎ6位から5位になったが、それ以外の総合勢にはこれといった動きがなかった。

ただ今日のステージの道はまっすぐで平坦な道がなかったので、選手へのストレスは結構あっただろうな。

 

ー 話すことは沢山あるが、まず大きなことからいこう。

なんとフルームに ”また” メカトラが起こった。こんなに頻繁にあるものなのか?

 

自らの後輪をフルームの自転車に付け、尻を叩き送り出すクヴィアトコフスキー。

 

ランス:

確かに多すぎる。フルームの今シーズンや去年のことを考えても多すぎる。

俺は現役時代7年間のうち、メカトラはパンク一回しかなかった。

 

ー 本当に!? 7年で一回!?

 

ランス:

ああ。

 

ー 選手に、特にフルームのような総合系の選手にメカトラが起きると、メカニックは怒られるの?笑

 

フルームのメカトラの原因にもよる。

今回の原因はピノレロ(スカイのバイクメーカー)やシマノ、タイヤなど自転車にあるかもしれないし、メカニックのせいかもしれない。彼らは自転車を毎日分解して、組み立てて、調節するのだからその可能性は十分考えられる。

もう一つの可能性は、フルームが特に自転車に厳しい乗り方をするライダーかもしれないということだ。

俺が現役の時はとても厳しいライダーとして知られていた。

しかし、毎晩自転車をみてくれる素晴らしいメカニックがのおかげで大きなトラブルがなかったんだ。

 

原因はこれらどれかかもしれないし、違うかもしれない。

*その後、後輪のスポークが折れたという報道がなされた

 

しかし、メカトラが黄色いジャージを着ている選手にしては多いのは事実だ。

 

ー でも幸運ながら、スカイはフルームをなんとか危機から救い出すことができた。

ランス:

なんとかね。それも彼の素晴らしいチームメイトがいたからだ。

フルーム自身も頑張ったけどな。まあレースで一番力があるのだから当然だけど。

 

また興味深かったのは、チームスカイはランダを下げず総合勢のグループにずっといたことだ。

今日のステージでランダの調子は本当によく見えた。全然力を使わずに登っているようにも見えた。まあ最後には下がってフルームを集団まで戻したけどな。

 

ー ランダは取材に対して「ツールにはフルームの為にきた」と言っていた。

「確かに表彰台には上がりたいが、まずはフルームのために仕事をすることだ」と。

あれは白熱しているメディアを落ち着かせるために言ったのかな?

ランス:

わからないけど、ランダの調子がよく見えるのは事実だ。

 

まあ、俺がクリス・フルームだったらランダを信用しないけどな。

別にランダが良い奴か悪い奴かということを言っているわけじゃないんだ。

前にも言ったが、彼は来年チーム・スカイを去る。それだけだ。

 

あと、この前言うの忘れていたが、もしキンタナだったらいまの状況をどう思うだろうか。

モビスターのエースとしてツールを走っているキンタナだとしたら。

 

ランダという「グランツールで勝ちたいと思っているライダー」をモビスターは取るんだ。

(現時点でランダがスカイと契約延長しないことはわかっているが、次のチームがモビスターだという事実は噂レベル)

 

いつも色んなところにドラマがあるんだ。

 

ー キンタナはジロを走った影響で調子が悪そうだよね

 

ランス:

ああ。本調子ではないし、いつもの彼なら絶対に落ちないようなところで度々落ちてしまっている。

彼はもう逃げに乗ってステージ勝利を考えなければならないだろうな。

 

 

ー フランスのファンについて話していいかな?

フルームにメカトラから集団に戻ってた時のフランス人のブーイングは凄まじかった。僕はフランスのファンはもっと洗練されていると思っていたよ。

それは僕が彼らを買いかぶりすぎていたからかい?(give it them way too much credit)

*洗練されていない証拠画像のリンクはこちら

 

ランス:

ああ、買い被り過ぎているよ。笑

 

フルームがメカトラで遅れた時、スカイは総合勢グループを疑っただろうな。その相手がバルデだとか限定はしないが、あのグループから誰かがアタックをする可能性があると思っただろう。

でも集団はフルームを待ち、ちゃんと集団に戻ることができた。

 

テレビや記事を読んでいると、みんなフルームのことが嫌いで、さも彼に人気がないと勘違いするような報道ばかりだ。

クリス・フルームは人気者ではない。

 

超人気者だ。

 

フルームが町中を出歩くだけで追っかけまわされることだろう。

だから彼が、さも嫌われてるかのような報道にはうんざいりだ。

 俺も何年も同じような体験をしたらね。

 

 

ー キミが何日か前の放送でラジオツールを開放するべきだと言っていた。そして NBC sport gold というオーストラリアの放送局が、実際にツール中継でラジオツールを流していたんだ。確かに面白かったが、五分ぐらいで何言っているのか全くわからなくなってしまったよ。

 

ランス:

もしもチームカーと選手、あるいは選手同士が無線でする会話が聴けたら面白い。当事者にとっては嫌な事かもしれないけど。

 

無線の音質は本当に悪いんだ。それは風や電波、観客の歓声などが原因なんだけど。

フルームがジャージの下にある無線マイクを掴み、限界まで口元に近づけて話しているシーンをみるけど、それはそういうことだ。

 

俺は現役の時、無線で言われている25%ぐらいしか聞き取れなかった。それにあらゆる言語とその訛りがあるんだから余計にね。

ノイズキャンセリングがこんなに進歩しているのにも関わらず、無線はここ10年で全然進化していないんだ。

 

確かに無線の発展に反対する人もいる。

選手個人による戦術がなくなり、選手がまるでロボットのようになってしまい、全ての展開が予測可能になる恐れがあるからだ。

逃げが毎回同じタイミングで捕まってしまったりと、毎レースが同じ展開になってしまう。

 

この原因がすべて無線にあるという人がいるんだ。

選手や監督は誰がどこにいるかのデータを逐一聴いているからね。

 

レースから無線がなくなることはないだろうが、ファンがその無線を聴けたら面白いだろうね。Embed from Getty Images

 

ー BMCに対して苛ついているように見えたけど?

 

イラつく?そんなわけない。だってどうでもいいんだから。

4人も逃げに乗ったのにステージを勝てなかったどころか、上位4位にも入れなかった。確かに簡単なステージではなかったけど、ただ脚がなかっただけだ。

 

あの四人がチームに帰ったらGMや監督へ言うだろうね。

「勝てなかった理由?脚が残っていなかったんだ」と。

最悪だよね。あの人数を逃げに入れるのなんて理想的な展開なのに。

 

 

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この回でチームカーの細かい役割など他にも話題があったのですが、一回のエントリにまとめるため省略しました。また、かなり意訳して部分もありますので、ご指摘があれば是非ともコメントや、ツイッター(@If_So_Ara)でお願いします。